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要点
北海に立つ出力12メガワットの風力タービンは、エネルギー自立の証しとなるはずのものだ。それなのに、その磁石はほぼ間違いなく中国で作られている。名前は誤解を招く。セリウムは地殻中に銅よりも多く存在するのだ。ボトルネックは精製にある。ほとんど同じ性質の元素を分離するには数百段の溶媒抽出が必要で、中国は数十年をかけてその技術を身につけた。西側の有権者なら受け入れなかった汚染を受け入れながら。2025年、中国は世界のレアアースの約69%を採掘したが、精製では約85%を占めた。計画中のすべての事業が予定どおりに稼働したとしても、2035年になお約70%を精製していると見込まれている。
目次
北海のどこか、灰色の海の水深30メートルの海底にボルトで固定されて、出力12メガワットの風力タービンが立っている。こうした機械は各国のネットゼロ計画の柱であり、政府はそれを戦略的なエネルギー自立の証として掲げる。権威主義国家の化石燃料から手を切り、自前のクリーンな電力を築きつつある国の姿としてである。
ナセルの内部では、ダイレクトドライブ発電機が何トンものネオジム・鉄・ボロン永久磁石を抱えている。その磁石は、まず間違いなく中国で、中国で精製されたレアアースから作られたものである。
同じ依存は、電気自動車のモーターにも、スマートフォンの画面にも、軍用レーダーにも、ジェットエンジンの部品にも通じている。西側の主要国すべてが進めるクリーンエネルギー転換と防衛近代化計画は、共通の物理的な土台の上に立っており、その土台は、加工の最も重要な段階で、ただ一つの国を経由している。
だからこそレアアースはチョークポイントなのである。意図的に築かれ、戦略的に維持されてきた隘路であり、現在の計画どおりに進んでも、2030年代半ばになお存在し続ける隘路である。
I. 誤解を招く名前
レアアースに分類される17元素の一つであるセリウムは、地殻中に銅よりも多く存在する。これまでに作られた最強の永久磁石の中核をなす元素ネオジムは、地殻中にスズの何倍も存在する。レアアース元素の「レア(希少)」という言葉は、18世紀と19世紀の化学が生んだ偶然の産物である。これらの元素は珍しい鉱物から「土類」、つまり酸化物として単離され、石灰やマグネシアのようなおなじみの土類と比べて乏しいものに見えた。2世紀のあいだに、この名前は根強い世間の誤解として固まった。供給問題を、地質学的な宿命であるかのように聞こえさせてしまうのである。
鉱石は、人の住むすべての大陸の地中にある。オーストラリア、ブラジル、カナダ、グリーンランド、インド、ロシア、米国――いずれも相当な鉱床を持つ。米国だけでも、カリフォルニア州に世界有数の高品位レアアース鉱床であるマウンテンパス鉱床がある。供給問題は別のところ、鉱石を地中から掘り出した後に起きることにある。
レアアースの加工を難しくしている要因は三つある。第一は分散である。レアアースは、銅や鉄のように厚く掘りやすい鉱脈に濃集しない。母岩のなかに低品位で散らばっているため、わずかな収量のために大量の物質を動かすことになる。これは高くつくが、銅の採掘業者も大量の物質を動かしているのであり、分散だけでは、なぜ一国が供給を握っているのかは説明できない。
第二は化学的な類似性である。15のランタノイドは周期表で隣り合って並び、これらとイットリウムは化学的な観点からはほとんど同一である。ネオジムとプラセオジムはあまりに似ているため、初期の多くの用途では分離されないまま混合物として使われていた。現代の用途の大半は、単一元素やネオジム・プラセオジムのような管理された混合物といった分離済みの製品を、通常は99%以上の純度で必要とする。それらを分離するには、溶かした鉱石を数百段の液液溶媒抽出に通さなければならない。ミキサーセトラーと呼ばれる槽を連ねたカスケードで、化学的性質のごくわずかな違いを一段ずつ利用し、各元素を隣の元素から少しずつ引き離していくのである。有機溶媒の選択や水相の酸性度から流量や温度に至るまで、工程のパラメーターは鉱体ごと、目的元素ごとに経験的に最適化しなければならない。それを身につけるには、工程を実際に動かし、期待どおりに働かないのを見て、調整する。これを何度も何度も繰り返すしかない。中国には、国の支援を受けた数十の施設で培われた数十年分のそうした知識の蓄積があり、同等の規模でそれを持つ国はほかにない。
第三の問題は放射性物質による汚染である。マウンテンパスのようなカーボナタイトを含む硬岩型レアアース鉱床の大半と、モナザイトを含む砂は、トリウムとウランを伴う。どちらの元素も地殻のなかで同じ地球化学的経路をたどるからであり、中国南部のイオン吸着型粘土は注目すべき例外である。こうした鉱石を加工すると、トリウムやウランを含む残渣を扱うことになり、その濃度によっては放射線規制のもとで許認可を受け、管理し、処分しなければならない。この負担こそ、米国が1990年代末にレアアース分離から事実上撤退した中心的な理由である。マウンテンパスは1984年から1998年にかけて廃水パイプラインからの流出を数十回起こし、一部は低レベルの放射能を帯びて周囲の砂漠を汚染した。その後の1998年に分離工場の操業を停止し、鉱山自体も2002年に閉鎖された。いまでは許認可、浄化、許可取得のコストが、閉鎖されたものを再建しようとするあらゆる試みに重くのしかかる。20年後、米国は、なぜ自国にサプライチェーンの問題があるのかを理解するために、緊急のタスクフォースを招集していた。
II. 数十年にわたる周到な取り組み
中国の優位についてよく聞かれる説明は地質である。たまたま中国に鉱床があったから、中国が市場を握っている、というわけである。この説明は政策を誤った方向へ導く。優位が地質によるものなら、解決策は採掘になる。よそで鉱床を見つけて掘れば、依存は消える。だが、鉱石を工場で使える材料に変える加工能力が中国にあるのは、中国が数十年をかけて、体系的に、どの民主主義国家の政府も持ちこたえられなかったであろうコストと手法で、それを国内に築いてきたからである。
1992年、鄧小平は中国南部の視察中にある発言をした。それはのちに西側のレアアース報道で最も多く引用される一節となった。「中東には石油がある。中国にはレアアースがある」。定番の解釈は、これを政策の宣言とみなす。地理学者のジュリー・クリンガーは、その解釈を非歴史的だと言う。彼女の指摘によれば、1990年代初めの中国の論評において、中東の石油とは西側の介入をこの地域に呼び込んだものの象徴であり、中国が肝に銘じておくべき危険だった。その文脈で読めば、この発言は、垂涎の的となる資源を持つことへの戒めのように聞こえる。
1992年に鄧小平が何を意図していたにせよ、その後に起きたことは体系的だった。中国政府はレアアース加工施設に補助金を出し、採掘事業を国の影響下にある企業のもとへ統合するよう指導した。分離工程を工業規模で運転するのに必要な技術的知識を築くため、プロセス化学の研究に投資した。加工のノウハウを持つ外国企業との合弁事業を通じて技術的専門知識を獲得した。こうした取り決めのなかで知識は中国側のパートナーへ移転し、外国企業はやがて、自らの中核的な能力を輸出してしまったことに気づいた。そして中国は、加工済みレアアースの国際価格を低く抑えた。中国の生産者は価格を押し下げて新規の競合を打ち負かすだけの余剰能力を持っており、そのために数十年にわたり、西側で加工能力に投資することは経済的に正当化できないものに見えた。
1990年代を通じて、レアアース永久磁石の世界最大の生産国は中国ではなく日本だった。TDK、信越化学工業、日立金属といった企業は、ネオジム・鉄・ボロン磁石を軸に高度な製造事業を築いていた。この磁石は1982年に、日本の住友特殊金属の佐川眞人とゼネラルモーターズのジョン・クロートがそれぞれ独立に発見したものである。国の補助金に支えられ、日本の施設が負っていた環境対策コストを負わずに操業する中国の生産者は、20年にわたって日本より安い価格を提示し、日本を首位から追い落とした。日本の磁石メーカーは主に特許の壁に守られて生き残ったが、2020年には中国が地球上のNdFeB磁石のおよそ10個に9個を作り、日本はおよそ14個に1個を作るにとどまっていた。
米国でこれがどう展開したかを最も端的に示すのがモリコープである。カリフォルニア州のマウンテンパスは、世界有数の高品位レアアース鉱石の上にある。1940年代から存在が知られている、並外れた品位のカーボナタイト鉱床である。モリコープは10億ドルを超える資金を調達し、分離済みのレアアース酸化物を商業規模で生産できる加工事業として再建・近代化したが、17億ドルの負債を抱えて破綻した。2011年以降、メーカーが代替品へ移るなかで価格はバブル期の高値から崩落し、2015年には中国が輸出枠を完全に撤廃した。新しい溶媒抽出と試薬リサイクルの工程ですでに苦戦していたモリコープは、米国の環境規制のもとで操業し、米国の人件費を払い、施設建設のために背負った負債を返済しながら、その価格で競争することはできなかった。2015年6月、同社は破産を申請した。マウンテンパスは休山状態での維持管理に入り、2017年には米国主導のコンソーシアムに競売でわずか2050万ドルで売却された。このコンソーシアムには、中国の盛和資源が議決権のない少数株主として出資していた。2025年まで、鉱山の精鉱の大半は加工のために中国の盛和資源へ送られていた。その期間の大半、ワシントンはこれを市場の結果として扱った。マウンテンパスで分離を復活させるための国防総省の資金が届いたのは、ようやく2020年のことだった。
マウンテンパスを採算割れに追い込んだ加工は、西側のどの民主主義国でも法的に不可能で、政治的にも生き残れなかったであろうコストのもとで、中国で行われていた。中国南部の江西省では、イオン吸着型粘土鉱床の主な採掘方法は原位置浸出である。硫酸アンモニウム溶液を山腹に直接注入し、レアアース元素をその場で溶かし出して、流れ出たものを回収するのである。2012年、中国の工業・情報化部副部長だった蘇波は、レアアースによる汚染を「巨大なブラックホール」と呼んだ。環境当局の推計では、当時の採掘から生じる汚染廃水は年間200万トンを超え、そのアンモニア性窒素の濃度は中国自身の国家基準の10倍から100倍に達していた。贛州の鉱山地域だけでも、採掘は数十平方キロメートルの土地を直接破壊し、汚染された流出水は、下流の香港、深圳、広州に飲み水を供給する河川に流れ込んだ。中国の工業・情報化部は、江西省南部のレアアース鉱山の浄化費用を約55億ドルと見積もり、地元当局が引用した専門家は、完全な回復には50年から100年かかるとした。
中国はこの被害を容認した。長期的な時間軸を持ち、辺境の省の環境被害について選挙で意味のある責任を問われることのない政府にとって、その取引は割に合うものに見えたのである。西側の民主主義国は、同等の被害を自国の土地で受け入れようとはしなかった。有権者も環境規制当局もそれを許さなかっただろう。だから西側は加工をよそで行わせ、その真のコストをまったく反映しない価格で製品を買ったのである。
その取り決めの帰結が、中国にあまりに集中した加工インフラであり、それは世界のハイテク製造の大部分に対する制御点として機能している。中国が築いたものを、中国と同じやり方で再建することはできない。西側で加工する際の環境・規制コストが、その計算を成り立たなくするからである。クリーンにやれば費用はかさみ、その追加コストはどこかが負担しなければならない。サプライチェーンの自立をめぐる約束のうち、それがどこなのかを語るものはほとんどない。
III. あらゆるものの内側にあるもの
風力タービンに話を戻そう。その発電機に収められた何トンもの永久磁石は設計された複合材料であり、その設計は、互いに置き換えのきかない特定のレアアース元素に依存している。
磁石の基本はネオジム・鉄・ボロン、磁石技術者の表記でいうNdFeBである。鉄とボロンとともに特定の結晶構造に組み込まれたネオジムは、磁石に強力な磁場と高い保磁力、つまり減磁されにくさの両方を与える。NdFeB磁石は、知られているなかで最も強い永久磁石である。重さあたりの強さが大きいからこそ、小型のダイレクトドライブ式風力発電機が実用化できる。ギアボックスを完全になくし、機械的な複雑さと、それに伴う故障率を減らすタイプの発電機である。洋上では、業界はおおむね永久磁石発電機に収斂しており、洋上タービンのおよそ4基に3基がそれを使っている。陸上では事情が異なる。陸上タービンの大半はいまもギアボックスと誘導発電機を使っており、レアアース磁石を含まない。エネルコンは長年、レアアース磁石をまったく必要としない電気励磁式の発電機を備えたダイレクトドライブ機を製造してきた。
だが、ネオジム・鉄・ボロン磁石には弱点がある。高温になると磁気特性が劣化するのである。稼働中の風力発電機や、負荷のかかった電気自動車のモーターでは、純粋なNdFeB磁石が保磁力を失い始める閾値を、温度が日常的に超える。典型的なEVモーターには1〜2キログラムのNdFeB磁石が必要である。この熱の問題に対する標準的な解決策がジスプロシウム、あるいはその近縁のテルビウムで、ネオジムの一部をこれに置き換える。添加量は重量で数パーセント、最も高温で使われるグレードでは10%前後に達する。これがなければ、室温で申し分なく働く磁石も、負荷のかかったモーター内部の温度では保磁力を失ってしまう。
高性能NdFeB磁石において、これらの重希土類に代わる安価で豊富な代替物は存在しない。メーカーは使用量を減らす術を身につけ、なかには完全に排除した例もある。2016年、ホンダと大同特殊鋼は、重希土類をまったく含まない磁石を量産ハイブリッド車のモーターに採用した。それでも、高温で動くモーターや発電機の大半では、ジスプロシウムとテルビウムがいまも標準的な解決策である。分離されたジスプロシウムは、そのほぼすべてを中国が生産している。加工済みジスプロシウムに占める中国のシェアは、2023年について99.9%と予測されていた。2025年以降、中国以外の生産者としてマレーシアのライナス・レアアースがジスプロシウムとテルビウムを商業的に分離しているが、その量は中国の生産量に比べればわずかである。米国では、2025年末の時点で持続的な商業規模で重希土類を生産した企業はまだなかった。
典型的なEVの駆動用モーターには、磁石のグレードと技術者がどこまで使用量を削ったかに応じて、数十グラムから200グラム前後のジスプロシウムが含まれる。大型のダイレクトドライブ式風力発電機には数十キログラム以上が含まれる。同じ熱安定化のためにジスプロシウムと併用され、あるいはその代わりに使われるテルビウムは、より少量で用いられる。今後10年間に見込まれるEV生産と洋上風力設置の伸びは、中国以外の供給能力を大きく上回るジスプロシウム需要を意味する。その供給能力は、市場が必要とする量のごく一部にとどまっている。
では、これをすでになされた政策上の公約と突き合わせてみよう。英国の「クリーンパワー2030行動計画」は、2030年までに43〜50ギガワットの洋上風力を目標に掲げている。欧州連合のリパワーEU計画は、2030年までにおよそ510ギガワットの風力発電容量を前提としており、これは2022年の約190ギガワットからの増加である。米国のインフレ抑制法は、EVの普及と国内のクリーンエネルギー製造に対して、両産業を変革するよう設計された規模の金銭的インセンティブを生み出した。もっとも、議会は2025年9月以降に取得された車両についてEV税額控除を打ち切った。これらの公約はどれも中国の名を挙げてはいないが、現状では、そのいずれもが、大半が中国で作られている永久磁石の上に成り立っている。
磁石だけではない。依存はエレクトロニクスと防衛システムにも及ぶ。画面の世界の多くを照らしているのはレアアース蛍光体である。液晶モニターやテレビの背後にある白色LEDの多くは、セリウムを添加したイットリウム・アルミニウム・ガーネットや、ユウロピウムで賦活した緑色・赤色の蛍光体に頼っており、それらが置き換えた蛍光管バックライトはテルビウムとユウロピウムを使っていた。有機ELの画面は例外で、その画素はレアアース蛍光体ではなく有機分子やイリジウム系分子から発光する。ランタンとセリウムは触媒コンバーター、光学ガラス、そして半導体ウエハーの仕上げに使われる研磨剤に使われる。したがってレアアースへの依存は、最終製品だけでなく半導体製造そのものにも及んでいる。イットリウムは、イットリア安定化ジルコニアとして現代のジェットエンジンの高温部ブレードを覆い、遮熱層となって、本来なら下の金属を壊してしまうほどの温度での運転を可能にしている。2025年に中国がイットリウムを輸出許可制の対象にして以来、中国国外でのその価格は以前のおよそ140倍に上昇し、北米のコーティング企業は生産の一時停止を余儀なくされている。
F-35統合打撃戦闘機は米国史上最も高額な兵器計画であり、中国を含む潜在的な敵対国に対して航空優勢を保つために設計された機体である。国防総省は、そのレアアース含有量を1機あたり400キログラム超としている。レーダーや電子戦システム、飛行制御アクチュエーター、レーザー照準システム、熱管理部品に分散して使われているのである。2022年、F-35のターボ機械ポンプの内部から中国製のサマリウム・コバルト磁石合金が見つかった。国防総省はF-35の引き渡しを停止し、その後、国産の代替品を探しながら適用除外に署名して引き渡しを再開した。中国と競うために作られた航空機が、ところどころで中国の加工能力に依存しており、そのことは何年も前から公に知られていた。
IV. チョークポイントはどこにあるのか
西オーストラリア州、小さな町ラバートンの南東約35キロメートルで、ライナス・レアアースはマウントウェルド鉱山を操業している。中国国外で最も品位の高いレアアース鉱床の一つである。ライナスはオーストラリアの企業で、株式の過半を中国以外の投資家が保有しており、オーストラリアと米国の政治家は、サプライチェーンの多角化が機能している証拠として、この会社をしばしば引き合いに出す。
マウントウェルドの精鉱は、カルグーリーの加工施設で、また一部はいまもマレーシアの工場そのもので、最初の分解と浸出の工程を経る。この施設は8億豪ドルを投じて建設され、2024年11月に正式に開所した。カルグーリーの中間製品はその後マレーシアへ船で送られ、溶媒抽出にかけられる。個々のレアアース酸化物を商業的な純度で単離する分離工程である。磁石メーカーや電子機器メーカーが使える最終製品は、マレーシアから出てくる。
マレーシアの施設は、10年以上にわたって繰り返し政治的な脅威にさらされながら操業してきた。施設の近隣住民は放射性廃棄物の処分に懸念を表明し、それは無理からぬことでもあった。マレーシアはライナスの操業許可を3年ずつの短い期間でしか更新しなかった。2026年3月、同国はようやく10年間の許可を与えた。条件は、新たな恒久処分施設を建設しないこと、そして新たに出る放射性残渣を貯蔵せずに処理することである。構造的な依存は残っている。加工の第一段階はオーストラリアが担い、分離はマレーシアが担う。西側のサプライチェーンは地政学的リスクにさらされた加工拠点から独立している、という主張に決着はついていない。その一方でライナスは、廃水の許可取得をめぐる問題を受けて、テキサス州シードリフトに計画していた米国の重希土類工場を断念した。その計画を支えていた国防総省の資金は、いまではマレーシアで作られる酸化物の代金に充てられている。
中国国外で最大の分離済みレアアース生産者が、サプライチェーンの自立を最も声高に掲げる国のうち二つから政府の支援を受けながら、なお中間製品を第三国へ送って分離させている。必要な規模の加工が、自国にはまだ存在しないからである。
難しさは、ここでもまた化学である。溶媒抽出のカスケードは、設計図から規模を拡大できるものではない。各段は、目の前の鉱石、つまりその元素の比率、その不純物、一緒についてくる脈石鉱物に合わせて調整しなければならず、カスケードを商業的な処理量と純度で確実に稼働させるには、何年もの試行錯誤が要る。今日稼働している中国の工場は、その試行錯誤を多くの工場で繰り返してきた産物であり、国家の研究資金と、どんなパイロットプラントにも再現できない操業規模に支えられている。
技術のライセンス供与や専門家の雇い入れによって道のりを縮めることはできる。だが、「施設を建てた」から「競争力のある収率と純度で生産している」へ至るのに、運転の学習曲線を迂回する近道はない。ライナスはカルグーリー工場を2年半足らずで建設したが、正式な開所から18カ月以上たっても、定格生産量に向けてまだ立ち上げの途上にあった。分離のチェーン全体を建設から競争力のある安定した商業生産にまで持っていくには、長い年月と数十億ドル単位の資本がかかる。しかもそれは、市場価格を上回るコストで材料を生産している年月を通じて資金を出し続ける政治的意志があることを前提としている。その間も中国の施設は西側の施設が太刀打ちできない価格をつけ続け、当初の資金を承認した政府高官は、その約束をしておらず優先順位を共有してもいないかもしれない高官に入れ替わっているのである。
中国がレアアースのサプライチェーンを支配するのに、レアアース鉱床を支配する必要はない。支配的な加工国であり続けさえすればよい。そして誰かが競争力のある代替を大規模に築くまで、中国はそうあり続けるだろう。2025年、中国は世界のレアアースの約69%を採掘したが、精製では約85%を占めた。長年、米国で採掘されたレアアースでさえ中国の加工施設へ流れていた。2025年4月まで、MPマテリアルズはマウンテンパスの精鉱の大半を中国へ出荷していたのである。ミャンマーの大量の産出は、いまもほぼすべてが中国へ向かう。マレーシアのように代替が存在するところでも、中国の能力に比べればまだ小さい。中国国外で採掘を拡大することは必要だが、まったく十分ではない。チョークポイントは下流にあるからである。
部分的な答えとしてときに提案されるのがリサイクルである。使用済みの電子機器や磁石からレアアースを回収できれば一次供給への依存は減る、という議論である。方向性は原理的には正しい。だが実際には、使用済み製品からのレアアースの回収は、世界全体で1%未満にとどまってきた。理由の一部は技術的なものである。レアアースは複雑な組立品のあちこちに少量ずつ分散しており、周囲の材料から分離するのがきわめて難しい。一部は経済的なもので、中国の現在の輸出価格のもとでは、レアアースのリサイクルの採算はよくてぎりぎりである。一次供給への依存を意味のある程度まで相殺できるほどのリサイクル能力を築くのは数十年単位の事業であり、目前の問題には遅すぎる。
V. 梃子はどう働くのか、そして使われるとき何が起きるのか
2010年9月、東シナ海の領有権が争われている尖閣諸島付近で、中国の漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突した。日本は船長を拘束した。およそ2週間のうちに、中国の税関は日本向けのレアアースの出荷を差し止め始めた。公式の発表はなく、貨物は税関で足止めされた。北京は輸出制限を正式に認めることは一度もなかった。そのおかげで中国はWTOでの正面衝突を避けられたが、圧力の仕組みは関係者の誰の目にも明らかだった。一部のレアアース元素の価格は、数カ月のうちに最大で10倍に跳ね上がった。レアメタル確保の戦略をすでに書面上は持っていた日本は、レアアースのリサイクル技術、磁石の代替研究、代替供給契約への支出を大幅に増やした。船長は最終的に釈放され、WTOはのちに、より広範な案件で中国の輸出制限に不利な判断を下し、中国は手を引いた。
中国の計画立案者たちがここから学んだらしい教訓は、梃子は効いたが、あまりに目立つ形で、あまりに強く、対応を正当化するにはあまりに小さな文脈で使えば、防ぐはずだった多角化の取り組みをかえって加速させる、というものだった。一部の元素で10倍に達した価格高騰は、戦略的には逆効果だった。買い手を代替の模索へと駆り立てたからである。より小さく、より安定した締めつけであれば、反発を抑えつつ同じ政治的目的を果たせたかもしれない。
チョークポイントを最も効果的に使う方法は、ほとんどの時間はそれを開けておくことである。価格は代替が不合理に見えるほど低く、供給は誰も切迫感を覚えないほど安定させておき、選択肢は手元に温存しておく。2010年以後の10年余り、中国はおおむねその姿勢を守った。2025年以降は違う。2023年12月、北京はレアアースのノウハウの輸出禁止を強化した。抽出・分離技術はすでに禁輸対象であり、改定された目録はレアアース磁石の製造技術を加えた。2025年4月、ワシントンとの関税戦争のさなかに、中国は7種の中・重希土類(サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム)とそれらを含む磁石を輸出許可制の対象とした。出荷は滞り、中国国外の自動車メーカーは減産を余儀なくされた。2025年10月には、さらに5元素を加え、国境の外にまで及ぶはるかに広範な措置を発表した。中国原産のレアアース材料が価値のわずか0.1%を占めるだけでも、対象となる外国製品には中国の許可が必要になるというのである。ドナルド・トランプと習近平が釜山で会談した後、北京はこの10月の措置を2026年11月10日まで停止した。2026年9月、両国政府はより広い貿易休戦を2027年1月10日まで延長したが、レアアースの停止措置もそれに伴って延長されるのかどうかは明らかにしていない。それでも4月の許可制は効力を保ち、2026年初めには中国は、防衛事業を手がける日本企業20社に対してレアアース磁石などの軍事関連物資の輸出を制限した。
国防総省は、「サプライチェーンが途絶した場合、国家安全保障に損害が及ぶ可能性が高い」と評価している。そして加工の大半は中国にある。国防総省は、2027年までに米国の防衛需要のすべてを満たせる鉱山から磁石までのサプライチェーンという目標を自らに課しており、2027年1月からは、防衛契約における中国製磁石の既存の禁止措置が、中国で採掘、精製、または分離されたレアアースから作られた磁石にまで拡大される。現在の生産能力からすれば、国内の供給基盤がこの期限に間に合う見込みは低い。台湾有事を例にとろう。
中国が、台湾に対する軍事行動が差し迫っている、あるいはすでに始まっていることを示し、西側諸国の政府が制裁パッケージを発表したとしよう。同じ週のうちに、中国商務部は2025年に構築した輸出許可制度のもとでの承認を遅らせ、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウム、ネオジム磁石の許可済み出荷を、たとえば3分の1削減する。そしてこの削減を、戦略備蓄の要件から必要となった国内供給の管理だと説明する。
その後の6カ月から12カ月のあいだに起こりうることは、次のとおりである。先進航空機、ミサイル誘導システム、精密誘導兵器の防衛生産ラインは、既存の在庫が消費されるにつれて部品不足に直面する。混乱を吸収できるラインもあれば、できないラインもある。米国と同盟国のレアアース備蓄は取り崩され始める。規模を示しておけば、米国の国防備蓄は2025会計年度に、NdPr酸化物を最大300トン、磁石ブロックを最大450トン購入することが認められていた。経済全体の産業界の買い手は、価格の高騰と割当の不足に直面する。そうなると、西側諸国の政府に対応を和らげるよう迫る政治的圧力の多くは、産業の混乱から生じることになる。その圧力は、台湾政策にはとりたてて関心がないが、自分たちの生産ラインが動き続けることには強い関心を持つさまざまな層に広がっている。
制限は、西側の製造業の意思決定に影響を与えるほどには痛めつけるが、それを止めてしまったり、全面禁輸がもたらすような完全なデカップリングを引き起こしたりはしない程度に調整されるだろう。完全な供給停止は中国にとって戦略的な誤りとなるだろう。西側諸国の政府をコストを度外視した代替への資金投入へと駆り立て、それによって依存を終わらせてしまうからである。部分的で、否認できる制限であれば、依存を生かしたまま、北京は譲歩を迫ることができる。
備蓄は、このリスクに対する西側の公認の対応である。代替供給を築くという、より時間のかかる仕事が進むあいだ、数カ月の時間を稼ぐことはできる。
VI. 何が必要なのか
レアアースにおける強靱性は、西側諸国の政府に四つのことを求める。どれも難しい。
第一は、何年にもわたって払い続ける資金、すなわち西側の加工業者に対する、市場価格を上回る価格支援である。中国で加工されたレアアースの市場価格には、数十年にわたる国家補助金と、外部化された環境コストが反映されている。そのコストは中国の施設が払ったものであり、西側の施設には払うことが許されないものである。そうした条件で操業する中国の生産者が決める酸化ネオジムの価格に、米国や欧州連合の施設が政府の支援なしに長く対抗するのは難しい。助成金や一度限りの建設補助ではこの差は埋まらない。必要なのは、政権交代を越えて続くよう設計された長期的な操業上の価格支援であり、規制を遵守する西側の加工業者の運転コストと、中国の競合が製品につける価格との差を埋めるものである。2025年まで、これを約束した西側の政府は一つもなかった。いくつかの政府はそれをほのめかしながら、桁違いに不十分な額しか予算に計上しなかった。
IEAは、今後10年間に中国国外で磁石用レアアースの需要を満たすのに必要な投資を約600億ドルとみており、その半分近くが精製に充てられる。2020年から2024年初めまでに国防総省自身が国内のレアアース事業に投じた額は、約4億4000万ドルだった。
2025年7月、国防総省はMPマテリアルズとの契約を発表した。4億ドルの出資と、NdPr製品に対する1キログラムあたり110ドルの最低価格を含む、数十億ドル規模のパッケージである。西側の政府が、上で必要だと述べた種類の長期的な価格支援を約束したのはこれが初めてであり、それはひな型となった。2026年3月、ライナスは日本の買い手および米国政府と、同じ110米ドルの最低価格で合意したのである。署名時点で、この最低価格は市場価格の2倍近くだった。その後、中国の価格はそこへ大きく迫り、2026年8月下旬には、ある評価によれば中国国外のスポット貨物が最低価格を下回り、約95ドルとなった。最低価格はいまや存在する。それを完全なサプライチェーンの一部とするはずの工場の大半は、存在しない。
第二は、10年を優に超え、複数の政権にまたがって持続する政治的コミットメントである。米国のレアアース政策は数十年にわたって周期を繰り返してきた。計画に資金がつき、立ち消えになり、次の危機で再発見され、不十分な規模で再び資金がつく。2022年に議会が国防備蓄に充てた資金は、30年ぶりの新規予算だった。中国の長期にわたる投資は、この問題に直面しない政治体制によって支えられてきた。それと競うには、西側の民主主義国が、この分野での実績からはうかがえないほどの一貫した産業上の目的意識を示さなければならない。現在の投資は本物であり、これまでで最も真剣な取り組みである。同時にそれは、保証しようのない政治的な継続性に左右されており、次の選挙を乗り越えられるかどうかはわからない。
第三は、自らのトレードオフに正直に向き合う環境規制である。西側諸国でのレアアース加工は、多くの場合、許認可を受けた恒久的な処分を要するトリウムやウランを含む残渣を生む。米国と欧州連合の現行規制は、こうした物質を生む施設の立地をきわめて難しくしている。抜け道は少ない。規制を修正することはできるが、それは特定の候補地の近くに住む特定の地域社会との政治的な争いを意味する。放射性残渣を扱う許可をすでに得ている数少ない拠点に仕事を回すこともできる。いまモナザイトからネオジム・プラセオジムを分離しているユタ州のホワイトメサ・ウラン製錬所がその例である。あるいは加工を規制基準の緩い国へ移すこともできるが、それは自立ではなくサプライチェーンの移転にすぎない。カザフスタン、ベトナム、インドネシアで加工すれば中国の梃子はわずかに弱まるが、戦略的な問題は解決しない。放射性廃棄物の処分を素通りする国内サプライチェーン自立の計画は、最も厳しい制約を抜かしている。
第四は、最も語られることが少ないものだが、成功とはどういう姿なのかについての正直さである。西側諸国の政府がいま何をしようと、中国は今後数十年にわたって主要なレアアース加工国であり続ける。達成可能な目標は強靱性である。中国が制限をかけても、痛手は受けるが止まりはしないだけの代替能力を持つことである。それは意味のある目標であり、政治家が「自立」という言葉で語るものとは別物である。自立と強靱性では、値札も時間軸も異なる。両者を混同すれば、政府は前者を宣言しながら後者に不十分な資金を出し、その二つの隔たりを進歩と称することができる。
VII. 請求書
30年にわたって、西側諸国の政府は、長期的な戦略的強靱性を短期的なコストと引き換えにしてきた。その帰結は、政府の検証で、そしてモリコープの破綻後にも改めて予見されていたが、積み重なるに任された。手を打つには費用がかかり、その間は安い中国産レアアースが手に入り、請求書が届くのは誰か別の者の任期中だったからである。
その請求書が、いま届きつつある。権威主義的なエネルギー輸出国への依存を減らすために建てられた風力タービンは、中国を経由するサプライチェーンに依存しており、中国の軍事的侵略を抑止するための防衛装備も同じである。
強靱性は10年を優に超える仕事であり、その費用は公然と負担しなければならない。はるかに大きな民間投資を呼び込むための持続的な公的資金であり、それを担うのは納税者か消費者、あるいはその両方である。計画中のすべての事業が予定どおりに稼働したとしても、IEAは、2035年になお中国が世界のレアアースの約70%を精製しているとみている。
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4:59How China controls the elements that power your life中国が精製・加工を支配することでレアアースをいかに掌握しているかをコンパクトに解説する。この記事の引用
Lena Martin. “レアアースのサプライチェーン――あらゆる現代機器の背後に潜む依存.” Eikleaf, 2026年4月27日, 更新 2026年10月25日. https://www.eikleaf.com/ja/the-rare-earth-supply-chain-the-hidden-dependency-behind-every-modern-device/
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メディア
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